第36章 ナンバー10

橘晴美は、コメント欄を確認する間もなかった。誰かがさっさとリンクを、セレブ女子のチャットグループへ放り込んだのだ。

途端にグループは爆発したみたいに騒がしくなる。次々と飛んでくる通知。みんなが彼女を@していた。

画面いっぱいに広がるのは、噂話、推測、嘲り。

橘晴美は、スマホの向こう側にいるネット民や同級生、友人たちの――鼻で笑う顔が、手に取るように想像できた。

これで、全員が知った。

自分は「偽物」で、橘結衣こそが「本物のお嬢さま」だと。

卑しいのは自分。貧乏人の血が流れているのは自分。

胸の底が、ずぶずぶと沈んでいく。羞恥と焦りが、息をする隙もなく押し寄せ、彼女を呑み込んだ。...

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